2023 / Iconography『瞬き』

わたしたちが日々経験する出来事はあまりに膨大で、そのほとんどを瞬時に忘れてしまいます。そして時々、わずかな感触のみが思い出され、何を知らせてくれているのか理解できずとても歯がゆい思いをします。

わたしは、道すがら不意の気配にシャッターを切ります。写真は、いわば「瞬き」のようです。そこには消えゆく事物の意味を留め、別世界の扉を開く手がかりがあるに違いありません。

作品は、1枚の写真とその半回転したイメージを合成したものです。偶然の産物として切り裂かれ再構築された被写体によって未知の世界が創出されます。それは闇に隠されていたもう一つの意味、消えゆく事物の深層を探求するイメージ「Iconography」となります。

フレーム製作: 井上ヒデコ 河原政利
会場音響: 杉原尚樹