2015 / STROKE
作品は、コンピュータによりシミュレートされた空間の一瞬を描画したものである。 シミュレートされるのはごく単純な物理現象である。仮想空間に配置されたオブジェクト群が一つの重力圏に捕らえられ、お互い衝突を繰り返しながら運動する様子を仮想カメラで撮影している。 コンピュータによって描かれた空間のあらゆる現象は、あたかもすべて自動生成されて現れてくるようにみえるが、実際のところこの仮想空間は、プログラミングする人間の作為・意志・感性によって絶妙な調和を保っている。 激しい衝突を繰り返しながら徐々に大きな塊となっていく様子は『星の誕生』を思わせる。偶然にまかせて描かれたコンピュータのストロークは、果てしないドラマの序章を告げるかのように豊かで美しい。その全ては人間の作為(ストローク)に過ぎないにもかかわらず。