2008 / Iconograhy – GREEN

この複雑なイメージを構成するものはたった1枚の写真である。写真のイメージを鏡のように反転させ、あるいは一定の角度で回転させる。それらを規則正しく並べ、少しずつズラして合成すると、驚くべきイメージが現れることに気がついた。以後たくさんの写真を撮り、その奇妙なプロセスを試していくことに夢中になった。

不思議なのは、「うまくいく」写真とそうでない写真が存在することだ。「うまくいく」写真が撮れる場所には偏りがある。作品制作の過程で、その「場所」には何か特別な理由があるのではないかと考えるようになった。

この作品の元写真は大阪市の南端にある大和川の川岸に自生する雑草を撮影したものだ。そこは自然を制御しようとする「人為」と、それにもかかわらず、すべてを覆い尽くす勢いの「野生」がせめぎあう都市の混乱に満ちた場所だ。しかし浮かび上がってきたイメージは、DNAの螺旋を思わせるねじれた空間のなかで永遠に連鎖する生命の美しさ・力強さに満ちていた。わたしの感じていた都市の混沌というネガティブな印象は吹き飛んだ。

このように偶然に現れる奇跡的にまとまったイメージはいったい何を意味するのだろうか。この疑問に導かれ、単純なものから複雑なものを生み出すダイナミズムに魅せられながら制作を続けている。